ボンゾとチャーリーワッツ、ドラムとバンド、グルーヴについて
たまたま目に入った記事でちょっと違和感があった。
正直邦楽に疎いので、BUMP OF CHICKENのドラムというものをキチンと聞いたのはほぼ初めてだけど、当て振りと下手はちょっと違うような?それとテクニックとして下手と言えるレベルでも無いような?
そのような自分の中の違和感について、以下のページで素晴らしく解説されていた。この件はこれ以上特に語らないことにする。
ドラマーのテクニック云々という話題だったので、ここでは自分の好きなバンドやドラマーについて書きたい。
ちなみに私はギターを生涯の趣味としているが、ドラムの演奏経験はほぼ無い。あくまでバンド内のギタリストから見た視点での好きなドラマーという位置づけで語る。
- バンドにおけるグルーヴとは
- グルーヴを生み出すギタリストとドラマーの関係
- レッドツェッペリン(Led Zeppelin)の場合
- ローリングストーンズ (The Rolling Stones) の場合
- 良いドラマーとは
バンドにおけるグルーヴとは
私は特にグルーヴを感じさせるバンドとドラムが好きだ。バンドのグルーヴとはギター、ベース、ドラムのアンサンブルであり、各々のタイム感の微妙なずれによるものである。グルーヴについての考察は以下の動画がとても興味深い。
グルーヴを生み出すギタリストとドラマーの関係
私は特にギターとドラムでグルーヴを形成するバンド、ミュージシャンを好んでいる。
具体的にはレッドツェッペリン(Led Zeppelin)と、ローリングストーンズ (The Rolling Stones) が好きだ。
もはやロック界のレジェンドバンドと言われる両者だが、グルーヴを聞かせることにおいては未だに両バンドを超える存在は無いと思っている。
レッドツェッペリン(Led Zeppelin)の場合
ツェッペリンにはジョン・ボーナムというドラマーと、ジミー・ペイジというギタリストがいる。
ジョン・ボーナムのドラム
ツェッペリンの最大の魅力はジミー・ペイジのリフやライブ中のインプロ(即興)フレーズに対するジョン・ボーナム(以降はアダ名のボンゾと書く)の的確で創造性溢れるリズムパターンの応酬、それぞれの個性のぶつかり合いやそれに伴うスリリングさだ。時にはボンゾが主導権を握りペイジがそれに応えフレーズを紡いでいくという極めて有機的な作用の繰り返しが、唯一無二なグルーヴを生み出す。少し長いが以下の動画を見てみて欲しい。言葉にしていることが伝われば良いのだけど。
ボンゾのプレーの特徴はバタバタととにかく手数が多く、時には必要以上にフィルイン(即興的なフレーズ、いわゆるオカズ)を畳み込んでリズムを形成しいてる点だろう。また、ボンゾはもともとジャズミュージシャンあがりということで独特な後ノリのタイム感にプラスして、楽曲に合わせた個性的なフレーズや繊細なタッチも得意としており、ドラムで「歌う」ことに関しては随一なのである。ドラマーに個性があると初めて理解できたのがボンゾだった。
有名なブートレグ(アンオフィシャルの海賊版)でのボンゾのキレッキレの演奏音源。人はバイオリズムがあり、良いときもあれば悪いときもある。これは前日にボンゾが体調不良で手酷い演奏を行っており、その反動でのパフォーマンスと言われている。
流石にフレーズを詰め込みすぎており、演奏として破綻してはいないものの、グルーブには欠けるという、ある意味での好例かもしれない。名人芸を見ているようで、これはこれで好きなのだが。
つまり手数が多くテクニカルなことと、グルーヴを感じるのかは、また別の話でなのである。
ローリングストーンズ (The Rolling Stones) の場合
ストーンズにはチャーリー・ワッツというドラマーと、キース・リチャーズというギタリストがいる。※正しくはロン・ウッドもいるけど、そこはキースがバンドのイニシアチブを取っているということで割愛。ただロンは大好きなのと彼のギターあってこその現ストーンズだと思っている。
チャーリー・ワッツのドラム
ストーンズもツェッペリンと同じくグルーヴを聞かせるグループだと思っているが、それぞれのドラマーのアプローチの仕方が全く違う。チャーリーもジャズミュージシャンであり、独特のノリとタイム感を持ち合わせているが、チャーリーは必要最低限の音数で、バンドに貢献している。派手さは無く淡々と8ビートを叩くのみ。フィルは最小限で、テクニック的な特徴はスネアとハイハット(シンバルが重なったやつ)を同時に叩かない事だ。以前高橋幸宏が指摘していたのだが確かに実際叩いていないように見える。
出だしから右手が時折上がったままの状態になるのが分かるだろうか?一般的に8ビートのリズムを刻む時には右手も常にハイハットを叩くのだが、チャーリーは違う。
つまりそこに独特の音の隙間が生まれ、ストーンズのグルーヴになっているのだ。一見すると危なっかしく聞こえるリズムパターンだがキースとロンのギターが絡みつき渾然一体となって転がっていく。ストーンズはそんなバンドだ。
キースも他のギタリストとは違う特徴がある。チャーリーと同じくギターのフレーズが最小限だ。※70年代に弾きまくってた時期もあるが、時代を追うごとに音数は減っている。
イントロでシンプルなキースのギターリフにチャーリーのドラムが加わることで一気にグルーヴが加速するのが感じられるだろうか?
ストーンズは余白を持たせることでグルーブを際立たせているのだ。
良いドラマーとは
それぞれのプレーの特徴は対極的だが、どちらにも等しくグルーヴを感じるし、どちらも心地よい。そしてどちらも大好きだ。
ツェッペリンにチャーリーのドラムはマッチしないだろう。ボンゾも同じくストーンズでは叩けないと思う。バンドから求められることにおいてそれぞれのドラマーは彼らにしか出来ない形でバンドに貢献している。それはテクニック的な話では無く、メンバーや楽曲や時代性など複雑に絡み合った結果なのだ。
チャーリーとボンゾの逸話もなんか素敵。
前述の通りジャズ志向が強く、尊敬するドラマーもトニー・ウィリアムスやバディ・リッチ、アート・テイラーなどをはじめとしたジャズ畑の人物が多いが、今まで出会った中で最高のドラマーを訊ねられた際には、「ジョン・ボーナムだ」と即答している。
ザ・ローリング・ストーンズ『ハバナ・ムーン ストーンズ・ライヴ・イン・キューバ2016』【初回限定盤Blu-ray+2枚組CD(日本先行発売/日本語字幕付き/寺田正典氏による大長編解説書封入)】
- 出版社/メーカー: ワードレコーズ
- 発売日: 2016/10/28
- メディア: Blu-ray
- この商品を含むブログを見る