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Web制作会社にWebディレクターとして勤務。ロックンロールが好きです。

読まれる文章にはコツがあり、方法がある - 書評 - 新しい文章力の教室

文章を書くことについて頭を整理することが出来て、とても有用だったので、備忘として書いておく。この本はあくまで実用的な文章の完成度を上げるものだ。小説やエッセイの類の文章力を上げるものではない。

ナタリーの編集長だった唐木元氏。その唐木氏が新入社員に対して「唐木ゼミ」と呼ばれるトレーニングで培った文章構成の方法と具体的な手順が体系的にまとめられている。

良い文章とは?

良い文章とは完読される文章である。書き手はまず文章を完読させることを目指そう。完読させる文章を書くこと。完読させる文章の構造があるのでそれを理解すること。 

良い文章の構造を理解する
実用的、完読される文章には明確な構造がある。まずは構造を理解する。文章には主眼と骨子が必要。書き始める前段で主眼と骨子を組み立てることがとても重要である。

主眼は文章のメインテーマであり、骨子は主眼へと到達する経路のこと。骨子は「要素」「順番」「軽重」から構成されている。改めてまとめると、書き始める前に「テーマ」を決める。それから「テーマ」のために「何を」「どれから」「どれくらい」話すかを決める。このような記述方法を「構造的記述」と筆者は呼ぶ。

文章をプラモデル、フォーマットと捉える
悩まずに書くための方法は文章をプラモデル化すること。誰でも組み立てられる「フォーマット」として扱う。
・「どんなことを伝える文章なのか」を定める(箱絵)
・「何を言うか」をトピック化して並べておく(パーツ)
・「どこから」「どこを充填に」組み立てるかを決めておく(取説)

つまり「箱絵=主眼」「パーツ=要素」「取説=順番・軽重」と考えることが出来る。 

文章の素材を集める
まずはパーツを集めよう。
・これから書く文章に含まれそうな話題を箇条書きで書きだす作業を行う
・この段階では順番や整合性は気にしない
・事実を集めてトピック化する
5W1HであるWho(誰が)、What(何を)、When(いつ)、Where(どこで)、How(どうやって)に沿って、事実を揃えるやり方もある

素材を眺めて主眼、テーマを決めよう
パーツを集めらた、パーツ群を眺め、テーマを決める。注意点がある。
・メインテーマは単なる要約であってはならない
・主眼を用いて自分なりの切り口を考える
・自分自身の切り口がオリジナリティとなる
・オリジナリティがあること、それこそが記事に体温を感じて貰える 

主眼を達成するために骨子を検討する
テーマ=主眼が決まったら、骨子の検討に入る。骨子とは「要素」「順番」「軽重」、もしくは「何を」「どれから」「どれくらい」ということ。骨子は要素→順番→軽重の順に決める。

ここまでのやり方であれば「要素」はすでに揃っているはずなので順番を整える。
順番を整えたらABCと軽重(度合い)を決める。最もアピールしたい部分にA、基本情報にB、付帯情報にCなど付ける。骨子が固まった後に、取捨選択もすること。完読に必要無いものはあえて捨てることも必要。

骨子の順番は定石に沿えば良い
骨子(「要素」「順番」「軽重」)の中でもっとも時間がかかるのが「順番」である。
ただし文章の順番にはある程度の定石がある。「サビ頭」、つまり結論を先に持ってくる。ビジネスのプレゼンテーションでも多様される方法を利用する。文章を書き始めるにあたっては、主眼と骨子が既に用意されているのでその文章を肉付けしていくことで、言いたいことは伝わる文章になっているはず。
ざっと書いたが、本書は第1章で基本的な文章の構造と書き方が記述されている。残りの章はナタリーの編集長らしく文章の「てにをは」を細かく指導する形でまとめられているが、これらの考え方が必要なのは本職のライターなどでは無いか?ただ、読み易くまとめられているので速読で「完読」してしまった。書くことに迷いが生じたり、筆力を上げたい際には、また読み返すことにする。